地域商社事例）高知県の一般財団法人夢産地とさやま開発公社

高知県の地域商社『一般社団法人夢産地とさやま開発公社』

高知県高知市の中心地から、車で40分走った場所にある土佐山地域。土佐山地域は、中山間地域で鏡川の源流地域となる場所です。この土佐山地域で、6次産業化に取り組んでいる地域商社が『一般財団法人夢産地とさやま開発公社（以下、公社）』です。地域の特徴を活かしオーガニック土壌を作り上げ、オーガニック生姜を名産品として生産し、ジンジャーエールなどの商品加工や販売まで行っています。地域商社としてぶつかる課題を公社の事例からご紹介します。

オーガニック土壌で出来た生姜で6次産業化

公社は、地域の名産品を作り上げ6次産業化を行っていますが、単に地域で取れた食材を6次産業化しているわけではありません。地域の特性や商品の強みを理解した上で、ブランドを作り上げています。”TOSAYAMA YUMESANCHI”ブランドの背景には3つの特徴が考えられます。

中山間地域を活かしたオーガニック野菜作り
土佐山地域は、中山間地域の特性を生かし、オーガニック土壌を作り上げています。市街地から離れ、山沿いにある敷地を探し畑を作る中山間地域の立地は、厳しい審査の有機JAS認証を受けるために適していたとも言えるでしょう。公社では、1992年に設立され、1998年に有機の里づくり推進モデル地区として有機土壌を作り上げています。詳しくは、公社の公式ページをご覧ください。
自社でコントロールできる販路を構築
公社は、地域内に工場を持ち、出荷した食材を直ぐに商品化できる体制があります。そして、しっかりと商品を販売する販路も自社で整え、飲食店、道の駅など、自社でコントロールできる販売先を持っています。卸業者や小売店への販売だけでなく、一定の商品を販売できる自社販路を持つ事により、第三者の影響を分散でき（リスクヘッジ）、事業安定に役立っています。
無農薬の強みを活かした販売戦略
公社の絶対的な商品が、有機JAS認定生姜のジンジャーエールやジンジャーシロップと、栽培期間中無農薬柚子の柚子スカッシュや柚子シロップです。公社の強みである無農薬を活かし、健康志向に向けた商品作りを行う事で、他社商品と争いがない商品展開を進める事ができます。商品として大事なことの一つは、負けない領域を作ることですが、公社は他にない商品でお客様へアピールしています。土壌作りから行う様子はこちら。

地域商社で良くある課題

地域商社から良く相談される3つ課題があります。どれも販路拡大に関する課題です。どの地域も商品には自信があるが、販路を広げるのが苦手と感じている地域が多いようです。ご紹介した公社も、当初はこれらの課題を解決したいと言う事から相談がありました。

商品を全国へ展開したい
県内ではある程度の認知度があり、営業先もあたり尽くしたと感じる事業所様は、全国へ販路拡大を行いたいと思うでしょう。ですが、県内ではスムーズに広がってた販路が、東京では苦戦する事をしばしば聞きます。東京の取引先は、大量の商品を提案されており見る目が肥えています。そして、ビジネスマナーに厳しく地域商社の提案を聞く時にストレスを感じたと言う話も聞いた事があります。どのように提案したら取引先から欲しいと言われるかを想像しアプローチする事が大事です。
ECサイトの売上を上げたい
ECサイトを構築してリリースするのは容易ですが、昨今のECサイトはリリースしただけでは売上げが伸びません。リリースしたばかりのECサイトは、山の中に店舗を構えるのと一緒で、誰もECサイトを知る事なく集客ができていない状態です。買って欲しいお客様を設定し、お客様の購買行動を整理する事から始める事が大事です。売上を上げているECサイトは、Webマーケティングのテクニックも然りですが、しっかりとお客様のニーズに応える対応をとっています。
営業やWeb担当者を教育したい
地域商社で始めるにあたり、地域内で商社経験者、Web担当者を採用する事は非常に難しいです。それは人材が地域にいないからです。地域商社の営業担当者やWeb担当者は、殆どが未経験の方にお願いする事が多いです。予算として外部に委託する事も難しい中で実行するために、経験者からの教育をしっかりと受け、しっかりとナレッジを学ぶ事が大事です。継続する事業は、人材教育からと言えるでしょう。